紫の水


この子を見ていると、ヒロを思い出して、複雑な気持ちになる。
拓ちゃん。私の唯一の幸せ。ヒロの忘れな草。
私が、高校生で妊娠して、駆け落ちして五年。
ヒロは言ってたとおり、バイトも日雇いも何でもしてくれた。
でも、仕事の愚痴を私に言うのが多くなってきた頃、歯車が狂った。
あんなに愛し合っていたのに、ヒロは女を作って、出て行った。
子どもと私。残された二人。
生きるために、水商売をするしかなかった。
キモい客に愛想を振り、酒を飲ます。
拓ちゃんの成長が、私の何よりの支えだった。

拓ちゃんが幸せであるように・・・




青い空気の続編



続編・白いガラス




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