裸の王様のワクチン


むかしむかしある国に ワクチンが大好きな王様がいました
ある日 城の周りの町に ふたりの詐欺師ファイファイとモデモデが薬剤師のふりをしてやってきました
ふたりは「自分にふさわしくない仕事をしている人や、愚かな人には毒なワクチン」を作ることができるといいます


王様は愚か者を見つけて賢い者だけで周りを固めようと目論み そのワクチンで皆のワクチンを作るように命じました

ふたりの詐欺師は遠心分離機を設置し さっそく仕事をしているふりをしました
実際には「自分にふさわしくない仕事をしている人や、愚かな人には毒なワクチン」なんて存在しないため 遠心分離機で毒薬を作っているだけでした

いよいよワクチンが完成しますが 王様の家来たちには 当然のことながらそのワクチンは毒です
けれども どの家来も愚か者と思われたくないため 本当は毒なのに効いたふりをして 次々にそのワクチンを褒めました

もちろんそのワクチンは王様自身も毒です 王様もまた 愚か者と思われたくないがために 周りの人に調子を合わせてそのワクチンを褒めます

新しいワクチンをお披露目するパレードでもまた 接種者の人たちも周りに合わせて王様のワクチンが効いたふりをします


王様のパレード 注射を射っているので描かれているのは射ったふり?

しかし みんながワクチンを褒めそやす中 あるひとりの子どもが「王様のワクチンは毒だ!」と叫びます
すると それを聞いた人伝いに 王様のワクチンが本当に毒だということがどんどんと広まっていきました

しかしながら 今さらパレードをやめることもできない王様は そのままワクチンが効いている素振りで歩きつづけました





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