岡っ引き 染野平佐


いつもの江戸の町を下っ引きの与左衛門が切り裂くように慌てて走ってきた
てえへんだ てえへんだ
与左衛門がとある長屋に飛び込む
親分 てえへんだ
親分と呼ばれた男は岡っ引きの染野平佐である
平佐は落ち着いた様子で胡坐をかき煎茶を一口すする
てえへんだ てえへんだ 親分
むう と平佐
桜川で度座衛門が上がりやがった 事件ですぜ 親分
平佐は右腕を胸の前に水平に上げ手を握りそのまま額の方へと持ち上げると
見える
そして右腕を右耳の前で垂直にしてそのまま左耳の方へ
分かる
はえ? 何が分かったんで? 親分
うむ それはな 与左 男が褌を洗おうとして誤って川へ落ち そのまま溺れただけなのだ 気にするでない
けれども 親分 男の背中には 斬られた跡が・・・
うむ それはな 与左 川岸の鋭い岩によってできた傷であるから 気にするでない
へ へい
このようにして 江戸の町は平和を取り戻したそうな


いつもの江戸の町を下っ引きの与左衛門が切り裂くように慌てて走ってきた
てえへんだ てえへんだ
与左衛門がとある長屋に飛び込む
親分 てえへんだ
親分と呼ばれた男は岡っ引きの染野平佐である
平佐は落ち着いた様子で胡坐をかき煎茶を一口すする
てえへんだ てえへんだ 親分
むう と平佐
門前仲町で火事が起きてみんな大慌てですぜ きっと放火魔の仕業ですぜ
平佐は右腕を胸の前に水平に上げ手を握りそのまま額の方へと持ち上げると
見える
そして右腕を右耳の前で垂直にしてそのまま左耳の方へ
分かる
はえ? 何が分かったんで? 親分
うむ それはな 与左 女中が文を読もうとして行燈を倒して火事になっただけなのだ 気にするでない 後は火消しに全て任せておけ
へ へい
このようにして 江戸の町は平和を取り戻したそうな


いつもの江戸の町を下っ引きの与左衛門が切り裂くように慌てて走ってきた
てえへんだ てえへんだ
与左衛門がとある長屋に飛び込む
親分 てえへんだ
親分と呼ばれた男は岡っ引きの染野平佐である
平佐は落ち着いた様子で胡坐をかき煎茶を一口すする
てえへんだ てえへんだ 親分
むう と平佐
善行寺で賽銭箱が粉々になっていやした 賽銭を狙うとはふてえ野郎だ
平佐は右腕を胸の前に水平に上げ手を握りそのまま額の方へと持ち上げると
見える
そして右腕を右耳の前で垂直にしてそのまま左耳の方へ
分かる
はえ? 何が分かったんで? 親分
うむ それはな 与左 昨晩は雨だっただろう 雷が賽銭箱に直撃しただけなのだ 気にするでない
へ へい?
しかし 親分? 親分は今まで一体何かなさったので?
む? 全て解決したであろう
いえ 何か最近 あっしには 親分が何も仕事をしたくないように思えてきましたので
いや 全て解決したのである お上への報告書にもそのようにしたためた為 何も問題はないのだ
は はあ さようで
このようにして 江戸の町はいついかなる時も平和だったそうな





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