ショートショート・プロレタリア文学二次創作・鮪工船




<注意>この物語はフィクションですので実際の何かとは全く関係ありません



優斗は情報学科を志した大学生だった
しかし学業の傍ら世の中を見ていると
このまま卒業したとしても
ブラック企業や怪しい金融くらいに引っかかるだけで
公務員あるいは上場一流企業正社員なんて夢のまた夢だと思い知らされていた
そんなある日優斗は学生課の就職案内の一つに目が留まった

黒薔薇鮪工船 株式会社
業務内容:遠洋で鮪を吊り上げその場でツナ缶にして市場を通さない販売ルートで販売します
応募資格:健康な高卒以上の男性
給与:能力に応じて月30万円以上月100万円も可能
採用担当者の一言:ヤル気のある元気な人材を探しています

おっ これは

次男坊で実家の家業のパン屋は継げないし
ブラック企業には入りたくないしと思っていた優斗には魅力的な内容だった
そしてすんなり優斗は黒薔薇鮪工船株式会社に就職した



初任の三か月はインターン扱いで漁船での作業の訓練を優斗はみっちり仕込まれた
そして優斗は初めての漁へと出た



漁港から黒薔薇鮪工船ブラックローズ丸が出航する様子を甲板でモップ掃除をする傍ら眺めていた

よしやるぞ

優斗は燃えていた
出港して二日経って公海上に出た夜
優斗が激しい船酔いと戦っていると先輩が見に来てくれた

優斗 大丈夫か

あ 兄貴 な なんとか うぷっ

可愛いな 優斗 裸になれ 船酔いを覚ましてやる

あ 兄貴 なにを?

優斗はわずかな抵抗もむなしく兄貴に衣服を脱がされてしまう

鮪が釣れたぞ 優斗 鮪のままでいいからな 船酔いなんかすぐ覚めるから

あ あにきぃぃぃ

優斗はカマを掘られ兄貴の言う通り船酔いもよく分からなくなっていた
薄れいく意識の中 兄貴の言葉が耳から離れない



これが男の約束だぞ ツナ缶 一丁アガリ



夢現の中で優斗の頭に浮かんだ言葉は

・・・鮪って俺のことでその場でツナ缶加工って そんなのアリか? うぷっ






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