3Dプログラミング入門講座・その1:ベクトル
同次座標がw,x,y,z,...の順番で定義されたものの説明です。順番が違うだけで、機能に変わりはありませんが・・・
基本的な書式はこちら
X3DOM+NAS6LIBの前提で説明しますが、基本的な考え方は他のものでも同じです。
はじめに、HTMLのヘッダに以下を(以下のフォルダ構成のセットもして)組み込んでください。
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/x3dom/jquery-2.1.4.min.js" ></script>
<link rel='stylesheet' type='text/css' href='./javascripts/x3dom/x3dom.css'>
<script language="JavaScript" type='text/javascript' src='./javascripts/x3dom/x3dom.js'> </script>
<link rel='stylesheet' type='text/css' href='./javascripts/x3dom/x3dom.css'>
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/nas6lib/timer.js"></script>
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/nas6lib/vector.js"></script>
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/nas6lib/matrix.js"></script>
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/nas6lib/quaternion.js"></script>
<script language="JavaScript" type="text/javascript" src="./javascripts/nas6/common.js"></script>
では、ベクトルです
・基本性質0
n次元のベクトルVとは
0-1.V=[V0,V1,...,Vn-1]
と書けます。また後述しますが、同次ベクトルとはNAS6LIBではV0をw(同次)座標と設定します。
・基本性質1
・ベクトルにスカラー(実数)aを掛ける
1-1.aV=Va=[aV0,aV1,...,aVn-1]
ですが、同次ベクトルのときは、同次座標はa倍をせずに
1-2.aV=Va=[w,aV1,...,aVn-1]
とします。
・基本性質2
・ベクトルの和と差
2-1.P±Q=[P0±Q0,P1±Q1,...,Pn-1±Qn-1]
とします
・基本性質3
3-1.P+Q=Q+P
3-2.(P+Q)+R=P+(Q+R)
3-3.(ab)P=a(bP)
3-4.a(P+Q)=aP+aQ
3-5.(a+b)P=aP+bP
・基本性質4
・ベクトルのノルム、長さ、絶対値、方向余弦、ディレクションコサイン、ノーマライズベクトル、全部ほぼ同じ
4-1.|V|=√(V0^2+V1^2+...+Vn-1^2)
これの証明は
いわゆる長さとは、2点間の最短距離なので円、球などの半径を求めればいいということであるから
例えば2次元のときはピタゴラスの定理というふうになる。
また、ノルムが1のベクトルは単位ベクトルといい
ベクトルのノルムを1に直すことを正規化(ノーマライズ)するという。
4-2.V.Norm=V/|V|
・基本性質5
5-1.|P|≧0
5-2.|P|=0←→p=[0,0,...,0]
5-3.|aP|=|a||P|
5-4.|P+Q|≦|P|+|Q|
・基本性質6
・ベクトルの内積、ドット、スカラー積
6-1.P・Q=Σ↓(i=0)↑(n-1) PiQi = [P0Q0+P1Q1+...+Pn-1Qn-1] = PQ
6-2.なす角θとすると、P・Q=|P||Q|cosθ
これは余弦定理から求められる。
各ベクトルとなす角θと内積の関係
6-3.内積=0ならば、ベクトルは直交する。これはベクトルの直交判定等に使える
6-4.内積>0ならば、なす角θ≦90°である。これは、ポリゴンの裏表判定等に使える。
6-5.内積<0ならば、なす角θ≧90°である。これは、ポリゴンの裏表判定等に使える。
・基本性質7
スカラーaと3つのベクトルP,Q,Rにおいて
7-1.P・Q=Q・P
7-2.(aP)・Q=a(P・Q)
7-3.P・(Q+R)=P・Q+P・R
7-4.P・P=|P|^2
7-5.|P・Q|≦|P||Q|
・基本性質8
射影
ベクトルPを軸Qに射影するとき図より
8-1.P.proj(Q)=|P|cosθ=(P・Q)Q/|Q|^2
垂直成分は(prepで表す)
8-2.P.prep(Q)=P-P.proj(Q)=P-(P・Q)Q/|Q|^2
8-3.以上より、まとめると、射影の三次元の変換行列は
○○○○○○○○○|Q0^2○Q0Q1○Q0Q2|
P.proj(Q)=○(1/|Q|^2)|Q1Q0○Q1^2○Q1Q2|○|P|
○○○○○○○○○|Q2Q0○Q2Q1○Q2^2|
・基本性質9
・ベクトルの外積、クロス、ベクトル積
9-1.三次元の場合、P×Q=[P1Q2-P2Q1,P2Q0-P0Q2,P0Q1-P1Q0]
外積は掛ける2つのベクトルにお互いに垂直なベクトルになる。
よって、法線ベクトルなどの計算に用いる。
9-2.以上より、まとめると、外積の三次元の変換行列は
○○|0○-P2○P1|
P×Q=|P2○0○-P0|○|Q|
○○|-P1○P0○0|
9-3.任意の3次元ベクトルP,Qのとき、(P×Q)・P=0および(P×Q)・Q=0が成立する。
このことは、外積がお互いに垂直なベクトルを返し垂直な内積は0であるからである。
9-4.|P×Q|=|P||Q|sinθ
このことは、|P×Q|を2乗して、6-2.から求められる。
よって、それらによって作られる平行四辺形の面積と等しいということになる。
・基本性質10
3次元でx,y,z各単位ベクトルをi,j,kとするとき
・右手の法則
10-1.i×j=k
10-2.j×k=i
10-3.k×i=j
10-4.j×i=-k
10-5.k×j=-i
10-6.i×k=-j
・左手の法則
10-7.i×j=-k
10-8.j×k=-i
10-9.k×i=-j
10-10.j×i=k
10-11.k×j=i
10-12.i×k=j
・基本性質11
11-1.P×Q=-(Q×P)
11-2.(aP)×Q=a(P×Q)
11-3.P×(Q+R)=P×Q+P×R
11-4.P×P=0←→[0,0,0]
11-5.(P×Q)・R=(R×P)・Q=(Q×R)・P
11-6.P×(Q×P)=P×Q×P=P^2Q-(P・Q)P
・基本性質12
・方向余弦、ディレクションコサイン、ノーマライズベクトル
3次元でx,y,z各単位ベクトルとベクトルPのなす角をそれぞれαβγとしたとき
12-1.P.dircos()=[|P|cosα,|P|cosβ,|P|cosγ]=[P0/|P|,P1/|P|,P2/|P|]
となり、これはベクトルの方向情報を保持したものであるから
これに長さや大きさを掛ければ、実際の元のベクトルに復元する。